このページでは、弁護士 楠 洋一郎が個人再生のメリット・デメリットや、自己破産と個人再生のどちらの手続をとればよいかを解説しています。
目次
個人再生の5つのメリット
個人再生のメリットは次の5つです。
①借金が最大90%減る ②財産を手元に残しておける ③職業の制限がない ④事業を継続できる可能性がある ⑤ギャンブルや浪費でも障害にならない |
メリット①(借金が最大90%減る)
個人再生をすると借金が最大で90%減額されます。減額された後の借金を、裁判所が認めた返済プラン通りに返済すれば、残りの借金は免除されます。
【自己破産の場合は?】 自己破産をすると、借金は税金など一部の例外を除いて免責されますので、返済する必要はなくなります。 |
メリット②(財産を手元に残しておける)
個人再生では、財産を手元に残しておけます。特に自宅を手放さないで借金を減額できるのが個人再生の大きなメリットです。「住宅ローン特別条項」というオプションを利用すれば、住宅ローンを払い続けながらそれ以外の借金を大幅に減額してもらうこともできます。
【自己破産の場合は?】 最低限度の生活に必要な物以外の財産は手元に残せません。破産管財人によって換金され債権者に配当されます。 |
メリット③(職業の制限がない)
個人再生には職業の制限は一切ありません。そのため、どんな職業の人であっても、個人再生を利用しながら、これまで通りの仕事を続けていくことができます。
【自己破産の場合は?】 自己破産の手続きが始まると、保険外交員や証券外務員など一部の職業につくことができなくなります。ただ、自己破産の手続が終了すると、制限されていた職業につけるようになります(復権)。制限される期間は3か月から6か月前後です。 |
メリット④(事業を継続できる可能性がある)
個人再生の利用者は、財産を手元に残すことができるため、返済プランを立てられるのであれば、経営している店の備品や在庫を処分する必要はありませんし、店の賃貸借契約も解約する必要はありません。そのため、個人事業主の方が事業を継続しながら、個人再生を利用することも可能です。
【自己破産の場合は?】 自己破産の利用者は、生活に必要な最低限の財産しか手元に残せません。店の備品や在庫は破産管財人によって処分され、店の賃貸借契約も解除されます。そのため、個人事業主が事業を続けながら自己破産をすることは困難です。 |
メリット⑤(ギャンブルや浪費でも障害にならない)
個人再生では、借金の原因によって、借金が減額されたりされなかったりすることはありません。そのため、ギャンブルや浪費で借金を作った場合でも、それがネックになることはありません。。
【自己破産の場合は?】 自己破産では、ギャンブルや浪費で多額の借金をしてしまった場合は、借金が免責されないことがあります。 |
個人再生の5つのデメリット
個人再生のデメリットは次の5つです。
①ある程度の収入がないと利用できない ②対象となる債権者を選べない ③借金が5000万円を超えると利用できない ④第三者に知られる可能性がある ⑤ブラックリストにのる |
デメリット①(ある程度の収入がないと利用できない)
個人再生は、減額されるとはいえ、借金を返済することが前提となっています。そのため、借金を返済していくだけの収入がないと、個人再生を利用することができません。
【自己破産の場合は?】 自己破産には収入の要件はありません。無職や専業主婦で収入がない方でも自己破産をすることができます。 |
デメリット②(対象となる債権者を選べない)
個人再生は全ての債権者が対象になります。「保証人に迷惑をかけたくない」、「お金を貸してくれた友人に迷惑をかけたくない」といった理由で、一部の債権者のみ手続きから除外することはできません。
【自己破産の場合は?】 個人再生と同様に、全ての債権者が対象になります。 |
デメリット③(借金が5000万円を超えると利用できない)
個人再生の利用者は、一部とはいえ借金を返済しなくてはいけません。借金が5000万円を超えると、たとえ一部であっても、責任をもって返済することが難しくなるため、個人再生を利用することはできません。
【自己破産の場合は?】 借金の額による縛りはありません。5000万円を超える借金があっても利用することができます。 |
デメリット④(第三者に知られる可能性がある)
個人再生は、国の新聞である「官報」に氏名や住所がのりますので、第三者に絶対にバレないというわけではありません。もっとも、官報をチェックしている人はほとんどいないため、第三者に知られる可能性は低いです。
【自己破産の場合は?】 自己破産も官報に氏名や住所がのるため、第三者に知られる可能性が絶対にないとまでは言えません。 |
デメリット⑤(ブラックリストにのる)
個人再生を利用すると信用情報機関のブラックリストに5年から7年程度のります。その間、ローンを組んだり、新たにクレジットカードを作ることができなくなります。
【自己破産の場合は?】 自己破産を申し立てるとブラックリストに7年~10年前後のります。自己破産の方が 個人再生よりもブラックリストにのる期間は長くなる傾向があります。 |
このような方は個人再生がおすすめ
個人再生のメリットとデメリットをふまえると、次のような方は、自己破産より個人再生が適していると思われます。
☑ 今後も安定的な収入がみこめる
☑ 個人事業主だが店を続けたい
☑ 何としても自宅を手元に残したい
☑ 破産をすると制限される職業についている
☑ 保証人がいない(または保証人がいるがやむを得ない)
☑ 借金のほぼ全てがギャンブルやFXである
*自宅については、一定の要件を満たした場合は、自己破産をしても手元に残しておくことができます。
このような方は自己破産がおすすめ
次のような方は個人再生より自己破産が適していると思われます。
☑ 減額ではなく借金をリセットしたい
☑ 専業主婦や失業中で収入がない
☑ 生活保護を受給している
☑ 保証人がいない(または保証人がいるがやむを得ない)
☑ 友人や親族から借入れをしているが、事情を話して納得してもらう
☑ 車や家をもっていない(または手放してもよい)
このような方は任意整理がおすすめ
自己破産にせよ個人再生にせよ、全ての債権者が対象となるため、「保証人に迷惑をかけたくない」、「お金を貸してくれた親族や友人に迷惑をかけたくない」という方には任意整理がおすすめです。
任意整理であれば、自己破産や個人再生と異なり、整理する対象を自分で選べるからです。
債務整理でお悩みの方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)までご相談ください。
【関連ページ】