自己破産にはメリットもあればデメリットもあります。自己破産を検討されている方は、メリットとデメリットを天秤にかけて、自己破産をするかどうかを決めた方がよいでしょう。

このページでは、自己破産のメリットとデメリット弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ご参考にしていただければ幸いです。

自己破産の3つのメリット

1.借金がなくなる

自己破産のメリットは、何といっても借金がなくなることです。借金がなくなることを「免責」(めんせき)といいます。税金などの例外はありますが、自己破産を申し立てると基本的には免責されるため、借金の悩みから解放されます。

2.取り立てがこなくなる

自己破産をすると、サラ金業者等から取り立てがこなくなります。裁判所に自己破産を申請し手続がスタートしてから借金が免責されるまで数か月かかりますが、破産手続がスタートすれば免責される前であっても取り立てはとまります。

弁護士や司法書士に依頼すれば、自己破産を申請する前であっても速やかに取り立てを止めることができます。

3.立ち直りのきっかけになる

自己破産を申請するためには、裁判所によって決められた書式を使って、一定期間、家計簿をつける必要があります。家計簿は収入と支出に分けてかなり細かいところまで記録します。

また、自己破産の準備をする過程で財産の目録を作ったり、ギャンブルや浪費が原因で自己破産をすることになった場合は、ギャンブル依存症や買い物依存症のクリニックに通ってもらうこともあります。

このような取り組みを通じて、金銭管理の習慣を身につけ、経済的更生の足がかりとすることができます。

自己破産の5つのデメリット

1.一定の職業につくことができなくなる

自己破産をすると一定の職業につくことができなくなります。自己破産によって制限される主な職業は次のとおりです。

【破産によって制限される職業】 警備員、保険外交員、宅地建物取引主任者、社会保険労務士、公認会計士、行政書士

でもご安心ください。自己破産をしたからといって、一生これらの職業につけないというわけではありません。制限される期間はせいぜい数か月です。

これらの職業につけない期間は、破産の手続がスタートした日から復権した日までの間です。「復権」とは、「借金を免除します」という裁判所の決定(免責許可決定)が確定した日のことです。破産手続のスタートから復権までおおむね3~8か月です。

一般の会社員の方は、自己破産をしたからといって、会社勤めを続けられなくなるわけではありませんし、勤務先に知られるわけでもありません。

2.官報に掲載される

自己破産をすると、官報という国が発行する新聞に掲載されます。掲載されるタイミングは、破産の手続がスタートした後と免責許可決定が出た後の少なくとも2回です。

もっとも、官報は読んでいておもしろいものではありませんので、定期的にチェックしている人はほとんどいないでしょう。直近1か月分の官報については、インターネットでも閲覧できますが、pdfファイルになっているため、名前で検索してもヒットしません。

そのため、まわりの人に自己破産したことを知られる可能性は非常に低いです。

3.ブラックリストにのる

自己破産をすると信用情報機関に登録されます。登録される期間は5年~10年です。この期間は銀行やサラ金業者から借り入れをすることができなくなります。住宅ローンや自動車ローンをくむこともできません。

また、クレジットカードを作ることもできませんし、これまで使っていたクレジットカードも使えなくなってしまいます。

もっとも、自己破産をする方のなかには、軽い気持ちで借金を重ねて自転車操業になってしまった方が少なくありません。そのような方にとっては、「借りたくても借りられない」環境におかれることは、立ち直る上でむしろ有益ともいえます。

4.連帯保証人に請求がいく

自己破産をすると本人の借金は免除されますが、連帯保証人の債務に影響はありません。そのため、債権者は連帯保証人に請求することになります。

サラ金でお金を借りるときやクレジットカードを作る際は、連帯保証人を設定しないことが通常ですが、銀行で事業用の資金を借りた場合や奨学金を借りた場合は家族が連帯保証人になっている可能性が高いです。

連帯保証人に請求がいくことを避けるために、自己破産をする前に連帯保証人がいる債務だけ返済してしまうと、偏波弁済(へんぱ)となり免責が認められなくなる可能性もあります。

5.再び自己破産をすることが困難

ひとたび自己破産をするとその後7年間は再び自己破産をすることが難しくなります。自己破産は借金が免除されるという点で債権者に損害を与えるものですので、何度も行うことは想定されていません。

ただ、「今後しばらくは自己破産が難しいからこそ経済的更生に向けて頑張れる」という側面もあるため一概にデメリットとも言えない面があります。

自己破産のメリットとデメリット-まとめ

自己破産には借金がなくなるという大きなメリットがありますが、職業制限、官報への掲載、ブラックリスト入り、連帯保証人への請求、再度の自己破産が難しいというデメリットもあります。

自己破産は大きなライフイベントです。これらのメリットとデメリットを比較して、自己破産をするかどうかをご検討ください。 自己破産をするかどうかお悩みの方は、ウェルネス(03-5577-3613)へお気軽にご相談ください。