このページでは、弁護士 楠 洋一郎が自己破産と任意整理のメリット・デメリットやどちらの手続をとればよいかを説明しています。
目次
任意整理とは
任意整理とは、サラ金業者などの債権者を相手に、債務の減額や返済期間の延長などについて交渉することです。自己破産は、裁判所によって進められますが、任意整理は裁判所を利用しない私的な手続です。
任意整理のメリット
任意整理のメリットは次の8つです。
【任意整理のメリット】 ①第三者に知られない ②職業制限がない ③ブラックリストにのる期間が短い ④交渉相手を選べる ⑤手元に財産を残せる ⑥手続きが早い ⑦手間がかからない ⑧費用が安くなることがある |
メリット①(第三者に知られない)について
任意整理は法律で定められた手続ではないため、官報に名前などがのることはありません。そのため第三者に知られることはありません。
【自己破産の場合は?】 官報に名前や住所がのりますが、官報を見る人はほとんどいないため、第三者に知られる可能性は非常に低いです。 |
メリット②(職業制限がない)について
任意整理は、裁判所を通さずに、債権者と金額や返済期間について交渉するだけですので、職業制限がありません。
【自己破産の場合は?】 警備員や保険外交員など一部の職業に就くことができなくなります。ただ、制限される期間は一生ではなく、破産手続中の数か月のみです。 |
メリット③(ブラックリストにのる期間が短い)について
任意整理をすると5年程度ブラックリストにのります。その間、ローンを組んだりキャッシングをすることはできません。
【自己破産の場合は】 5年から10年ブラックリストにのります。任意整理よりも期間が長くなることが多いです。 |
メリット④(交渉相手を選べる)について
任意整理は交渉する相手を選べます。全ての債権者と交渉する必要はありません。例えば、サラ金業者と友人からお金を借りている場合、「サラ金業者とは交渉するが、友人とは交渉せず約束通りお金を返す。」ということも可能です。保証人がいる債務は、債権者と交渉せずに払い続け、保証人に請求がいかないようにすることも可能です。
【自己破産の場合は?】 特定の債権者だけ手続から除外することはできません。全ての債権者が対象となります。また、自己破産すると、債権者から保証人に請求がいくことになります。 |
メリット⑤(手元に財産を残せる)について
任意整理をする場合は、自分の財産は手元に残しておけます。
【自己破産の場合は?】 99万円までの現金や20万円未満の預貯金、家財道具など一定の財産は手元に残しておけますが、それ以外の財産は破産財団に入れられてしまいます。 |
メリット⑥(手続きが早い)について
任意整理は裁判所を通さないので、1か月以内に交渉が成立する可能性が高いです。
【自己破産の場合は?】 裁判所に破産を申し立ててから手続が終了するまで3~6ヶ月程度かかります。ただ、弁護士が通知を出すと督促はストップしますので、期間が長くなっても影響はありません。 |
メリット⑦(手間がかからない)について
任意整理は書類や資料を準備する必要がほとんどありません。業者との交渉についても弁護士に依頼すれば全てやってくれます。
【自己破産の場合は?】 裁判所が定めた多くの書類や資料を提出する必要がありますが、弁護士がいれば書類の書き方などをサポートしてもらえます。 |
メリット⑧(費用が安くなることがある)について
任意整理は裁判所を利用しないため、手続費用がかかりません。弁護士費用は「交渉相手1社あたり3~5万の着手金+減額報酬の10%」というプランが多いです。そのため、交渉相手が少なければ、費用もそれほどかかりません。
【自己破産の場合は?】 裁判所を利用するため手続費用がかかります。同時廃止で2万円、管財事件で22万円程度です。弁護士費用は同時廃止で20~30万円、管財事件で30~40万円程度のことが多いです。 |
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは「借金がほとんど減らない」ということに尽きます。
【任意整理のデメリット】 借金がほとんど減らない |
自己破産をした場合、滞納していた税金などごく一部の例外を除き、借金はリセット(免責)されます。
【自己破産の場合は?】 原則として借金を返さなくてもよくなる |
これに対して、任意整理の場合は、基本的に将来利息しか減りません。元本やこれまで発生した利息・遅延損害金は返済しなければいけないのです。業者によっては、遅延利息すらカットしてくれないところもあります。
そのため、「任意整理をしたけれども結局返しきれなくなり自己破産をした」という方も少なくありません。
このような方は任意整理がおすすめ
任意整理・自己破産のメリットとデメリットをふまえると、次のような方は、自己破産よりも任意整理の方が適していると思われます。
☑ 返済期間を延ばせば現在の収入で借金を十分返済できる
☑ お金を貸してくれた友人や保証人など絶対に迷惑をかけたくない人がいる
☑ 車や家など手元に残しておきたい財産がある
☑ 保険外交員など破産で制限される職業についている
ただし、車と家については、一定の要件を満たした場合は、自己破産をしても手元に残しておくことができます。
このような方は自己破産がおすすめ
次のような方は任意整理よりも自己破産の方が適していると思われます。
☑ 利息カット程度では借金を返しきれない
☑ 破産で制限される職業についていない
☑ 金融機関からの借金のみで保証人もいない
☑ 友人や保証人には迷惑をかけるが借金をなくしたい
☑ 車や家をもっていない(または手放してもよい)
自己破産か任意整理でお悩みの方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)までご相談ください。
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